31、すべての事象に2面性がある

治療

全てのものには2面性があるとよく言われますが、精神病治療においても2面性があると思って、ものごとを視るのは大切です。

人の属性

たとえば、性格においては
気が弱い    ⇔    優しい
融通が利かない ⇔    まじめ
優柔不断    ⇔    慎重
忘れやすい   ⇔    切り替えが早い
八方美人    ⇔    社交的
内向的     ⇔    思慮深い
無鉄砲     ⇔    行動力がある
など、気質は同じでも状況によって見方が変わります。

性格だけではありません。人の能力にも2面性があります。
文筆の才能、弁舌の才能、知識や腕力なども、使い方によっては、人のためにもなるし、人を傷つけるものにもなります。

人の気質・能力は、プラスの側面、マイナスの側面、両方を持っていますので、できるだけプラスの側面を出すように心がけましょう。

精神病を治していく上では
他人に流されやすい ⇔  人の意見を聞く
頑固        ⇔  粘り強い
も好ましい性格です。

人の属性以外

2面性があるのは人の属性だけではありません。物にも2面性があります。

たとえば、包丁などの刃物もどのように使うかによって意味が違ってきます。

薬も同じです。日常生活の支えになることもあれば、使い方を間違えると、自分を傷つけたり、依存したりすることになります。ゲームやアルコールも依存の対象にもなりますが、精神症状が強い時は、支えになるでしょう。状況によって、プラスにもマイナスにもなります。

お金にも、2面性があります。今まで引きこもっていたけど、これから社会に出て自立しようとする人にとっては、お金を稼ぐというのはモチベーションになるでしょう。しかし、お金に執着するようになると、逆に精神病の原因にもなり得ます。

うつ病 診断 症状 でも挙げた 空の巣症候群ですが、子育てという存在意義は支えにもなりますが、依存や執着にもなり得ます。(空の巣症候群とは、子供のためにがんばるという思いで大変な時期を乗り越えたけど、子供が独立してうつ病になってしまうというお話です。)

仕事中毒で、精神病になった場合でも、仕事への執念が土壇場で支えになってくれることもあるので、やり方を変える必要はありますが完全休職にしない方がいい場合もあります。ここら辺は患者さんとよく相談して決める必要があります。

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