35、マウントやパワハラされた時の対処法②

治療

パワハラを受けた時

前回の記事 の続きです。パワハラ(悪意)の解決はなかなか難しいと思いますし、個々の症例で対応が全然違ってきますので、ここでは総論のお話です。パワハラ(悪意)を受けたと感じ、相手側の妄想割合が高いと判断した場合の対処法です。

妄想とは、”自分や他人を傷つける考えや行動” のことを言います。現実かどうかで判断するのではありません。妄想の例として、憎しみや嫉妬、嘲笑、いじめ、不平、不満、他責、自責、自己卑下、希死念慮などがあります。
詳しくは次の記事を参考にして下さい。 妄想について どのように妄想に陥ってしまうのか?

前記事でお話したとおり精神病が治る方向で、いろいろな可能性を模索し試行錯誤してみます。誰かに相談したり、相手と言い合いしたり、相手を持ち上げたり、転職先を探したり、いろいろ試し、それらの反応を見ながら、どの選択に流れがあるかを探ります。(休職も一つの方法になるとは思います。)流れを見極めるのには時間が必要になるので、辛くても焦らないでください。

同時になんで自分が相手の妄想(悪意)に引っかかってしまうのか? なんで妄想(悪意)を断れないのか? を検討する必要もあります。 プライド、こだわり、他人の評価の気にし過ぎ、見栄、依存、甘え、被害妄想 等がないだろうか。もしあれば、それらを手放せるように、少しずつ準備していってください。これは自分の弱点になるので、手離せればかなり有利になります。
(参考記事:うつ病 診断 症状  うつ病 原因はいろいろ)

次に、パワハラ(悪意)を受けて(被害)妄想の人間関係性に陥ってしまった時の注意点をいくつか述べます。

注意点
①今いるのは(被害)妄想という仮の世界で、本来の穏やかな人間関係性の世界ではないと認識する。パワハラしてきた相手を非難したり、不平・不満を言ったりするのは、立派な妄想(悪意)です。相手との戦いなので、仕方ないのですが、本来の自分の姿ではないと思ってください。

②この妄想が終わったら、元の世界にすぐに戻れるように、穏やかな人間関係性を忘れないようにしてください。信頼できる家族や友達との穏やかな関係を維持する、パワハラとは関係ない生活や仕事を継続する等。パワハラ(妄想)の事だけをずっと考え続けないこと。

③戦う期間を半年なり1年なり5年なりと大まかな目安を決めるのがいいかと思います。決着がつかなければ、どこかで諦めて終わりにする。(被害)妄想の内容、関わり方によって期間は違うと思いますが、ずっと妄想の世界にいるのは人生がもったいないと思います。

④敵は一人に絞る。徒党を組まれると大変なので、その他の人とは、譲歩してでも仲良く振舞う。

⑤妄想(悪意)は表沙汰にされるのを嫌がるので、できるだけ相手とのやり取りをオープンにしていく。相手とは大きな声で話をする、誰かに相談するなど、周囲にパワハラ(妄想)の事実を浸透させていってください。

⑥相手に対し、素直に「つらいから。止めてくれ。」と言ってみる。実際に止めてくれればありがたいのですが、目的はそこにはありません。こちら側の苦しみを相手が知らずに いじめられるより、こちらが苦しんでいることを知りながら いじめてもらう方が、はるかに相手の精神に いじめる・いじめられるの人間関係性(妄想)を刻みこめます。自分がいじめられてつらい思いをする度に、相手側の精神により深く妄想を刻みこむためです。

⑦自分の弱点 (プライドやこだわり、他人からの評価を気にし過ぎ、見栄、依存、甘えなど) を手放す準備ができたら、タイミングをみて手放す。「たとえ、仕事を失ったとしても・・・」、「たとえ、昇進できなくても・・・」、「たとえ、仕事ができない奴と思われても・・・」、「たとえ、仕事を教えてもらえなくても・・・」 みたいに腹をくくって、自分が大事に抱えてきた弱点を手放していきます。そしてここからは、相手を責めるな、自分を責めるな、です。これらができれば(被害)妄想の世界から抜け出せます。

⑧戦いに勝っても相手にトドメを刺してはいけません。よくドラマや漫画で悪をやっつけてスカッとするシーンがありますが、これは危険な行為です。つらい思いをしたからといって、スカッとするような快感を持って人を傷つけてはいけません。快楽を持って人を傷つける行為は、自分の精神に、傷つける・傷つけられるの人間関係性(妄想)を強く刻み込んでしまいます。理想の終わり方は、「引き分け」もしくは、安全域を取って「ちょい負け+許し」での幕引きです。勝ち負けのない終わり方とも言えます。場合によっては少しモヤモヤ感が残る位でいいと思います。相手側が自分に手を出すのを止めてくれればいいのですから。終わったら気持ちを切り替えて次に進みましょう。相手が妄想の世界に留まっていようが、それは知ったことではありません。

その他

妄想(悪意)の投げかけ方は、善意に交じって投げてくるなど いろいろなパターンがあります。なにか嫌な感じがしたら、妄想(悪意)に巻き込まれたと思って立ち止まり、相手の心、自分の心をよく分析して対応してください。できれば、善意だけ受け取って、妄想(悪意)は受け取らない・協力しないのがいいですね。

また妄想(悪意)は人だけでなく、会社の妄想、国家の妄想など 集団妄想もあります。背景にある構造や動機をよく見極めて対応してください。

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