妄想という言葉は皆さんもよく聞くと思いますが、どういうのが妄想になると思いますか?現実にはありえない事を妄想というのでしょうか?
被害妄想とは
被害妄想は、「命が狙われている」「盗聴器が仕掛けられている」「悪口を言われている」などがあります。そんなことあり得ないからそれは妄想だというのであれば、患者さんをそんなことあり得る場所に連れていけば妄想じゃなくなるということでしょうか? 今戦争している国や監視国家など「命が狙われている」「盗聴器が仕掛けられている」のが現実となっている場所もあります。
また妄想は自分では判断できないと言われますが、もし自分で判断できないのであれば、誰がどう判断するのか?、周囲の人が判断するのだろうか?、医者の判断は本当に正しいのだろうか?と疑問に感じると思います。患者目線で言ってます。
「何を妄想というのか?」長い間この問題について考えてきましたが、妄想とは”自分や他人を傷つける考え”というのが、合理的で分かりやすいと思います。「私はダメな人間だ」と自己卑下したり、「自分が悪いんだ」と自分を責めたり、希死念慮、自殺行為も妄想になります。「命が狙われている」「盗聴器が仕掛けられている」「悪口を言われている」いずれも自分を傷つける考えですので、残念ながら妄想と言うことになります。これらの妄想は現実にあるかどうかは問題ではありません。実際、現実かどうかは分からないと思います。
被害妄想を考える上で、もう一つ大事な点
それともう一つ大事な点をお話します。皆さん自分がやられたことはしっかり訴えられますが、自分が他人に加害的な思考を持つことに対して無自覚な人が多いです。いじめの加害者も自分はいじめてないと思っているように、自分の発言・行動に加害的思考がないか点検するのをお勧めします。誰かを叱責している時、優しさからしていますか?それとも自分のこだわりを満足させるために叱責していますか? 普段の何気ない不平・不満も妄想の類になります。
また正しい事をやっていれば、妄想じゃないとも言いきれません。
法律を守って立派な事を言ってても、内心で搾取してやろうとか、やっつけてやろうとか、そういった思いが根底にあれば、それも妄想になります。正義のつもりが加害思考だったということもよくあります。行動や発言の背景にある思いがとても大切です。
そうなると、不平・不満も考えちゃいけないのかと、おっしゃる方もいると思います。そういう訳でもないのですが、これが精神に与える影響を追々ご説明します。私もしょっちゅう妄想していますので安心(?)してください。でも、妄想はするけれどこれは妄想だと自覚した方がいいです。
誇大妄想について
誇大妄想も現実かどうかで判断するのではありません。
誇大妄想もよく観察すると、その背後には傲慢さ(自分は偉いんだみたいな)や自慰的要素が隠れています。選民思想も誇大妄想になります。選民思想には傲慢さ、他人を見下す加害思考が内包されています。誇大妄想と被害妄想(加害思考)は質的に似ています。
ちなみに、現実かどうかで判断しないと申しましたが、決して現実を軽視している訳ではありません。
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