統合失調症と双極性障害は本質的にどう違うか?
統合失調症の妄想と(躁)うつ病の妄想は違うと聞くことがありますが、本当に違うのでしょうか?
それならば、統合失調症と(躁)うつ病の不安は違うのでしょうか?
統合失調症の意欲減退と(躁)うつ病の無気力は違うのでしょうか?
統合失調症と(躁)うつ病のだるさは違うのでしょうか?
統合失調症の思考途絶と(躁)うつ病の思考抑制は違うのでしょうか?
気分の落ち込みは?感情鈍麻は?
私は、同質のものと考えてます。
リスク遺伝子の共有とその意味
最近の遺伝子の研究でも統合失調症と躁うつ病は、リスク遺伝子は同じという報告もあります。リスク遺伝子とはざっくりとここら辺りの遺伝子群が怪しそうだねという意味で、同じ遺伝子が関与しているんじゃないかと推測している程度です。病気の遺伝子が特定されたわけではありません。
「日本最大の全ゲノム解析で統合失調症の新規リスク遺伝子同定に成功」
統合失調症と躁うつ病の共通点
症状が似ているというだけでは、統合失調症と躁うつ病が、本質的に同じだとは納得しにくいと思いますので、次に構造的な共通点・違いについてお話します。
まず共通点から説明しますが、統合失調症の誇大妄想と、躁うつ病の躁状態は同じということです。ここで誇大妄想には気分高揚が見られないというご指摘があるかもしれませんが、統合失調症の誇大妄想は躁うつ病Ⅱ型に似ていて気分高揚は目立たないけれど、頭の中では気分高揚しています。
統合失調症と躁うつ病の違い
次に違いを説明します。
統合失調症の誇大妄想:「頭の中の満足」
統合失調症は頭の中で満足するタイプとも言えます。もちろん頭の中の世界も崩れれば “うつ” になりますが、誇大妄想は頭の中の世界なので、現実問題に影響されにくく壊れにくい。壊れてもまたすぐに作れます。すなわち統合失調症は”うつ”になりにくいと言えます。
(参照記事:”うつ” 原因はいろいろ)
躁うつ病の躁状態:「現実世界での満足」
対照的に、躁うつ病は現実世界に反映して満足するタイプです。躁うつ病の躁状態は現実世界に反映して満足しているので、現実問題に影響されて躁の世界が壊れやすく、再構築するのも大変です。そのため、躁うつ病の方が ”うつ”なりやすいと言えます。その代わり、躁うつ病は周囲の理解から逸脱する世界観にはなりにくいという特徴があります。