8、統合失調症と躁うつ病の 類似点・違い

統合失調症

統合失調症の妄想と(躁)うつ病の妄想は違うと聞くことがありますが、本当に違うのでしょうか?

それならば、統合失調症と(躁)うつ病の不安は違うのでしょうか?
統合失調症の意欲減退と(躁)うつ病の無気力は違うのでしょうか?
統合失調症と(躁)うつ病のだるさは違うのでしょうか?
統合失調症の思考途絶と(躁)うつ病の思考抑制は違うのでしょうか?
気分の落ち込みは?感情鈍麻は?

私は、同質のものと考えてます。

最近の遺伝子の研究でも統合失調症と躁うつ病は、リスク遺伝子は同じという報告もあります。
日本最大の全ゲノム解析で統合失調症の新規リスク遺伝子同定に成功

統合失調症と躁うつ病の類似点と相違点

症状が似ているというだけでは、統合失調症と躁うつ病が、本質的に同じだとは納得しにくいと思いますので、次に構造的な類似点・相違点についてお話します。

類似点 : 統合失調症の誇大妄想と、躁うつ病の躁状態は同じ。
相違点 : 統合失調症は頭の中で満足するタイプで、躁うつ病は現実世界に反映して満足するタイプ。

言い換えると、
誇大妄想は頭の中の世界なので、周囲に影響されにくく壊れにくい。壊れてもすぐ作れる。
(参照記事:”うつ” 原因はいろいろ) 
躁状態は現実世界に反映しなくてはいけないので、周囲に影響されて壊れやすく、構築するのも大変。

そのため、躁うつ病の方は”うつ”なりやすい、統合失調症は”うつ”になりにくい。
その代わり、躁うつ病は周囲の理解から逸脱する世界観にはなりにくいという特徴があります。

ここで誇大妄想には気分高揚が見られないというご指摘があるかもしれませんが、統合失調症の誇大妄想は躁うつ病Ⅱ型に似ていて気分高揚は目立たないけれど、頭の中では気分高揚しています。

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